TOPへ

心臓血管外科

心臓血管外科について

心臓血管外科では、心臓から全身へと送り出された血液が流れる「大動脈」、大動脈から枝分かれして上肢や腹部臓器、さらには下肢末梢へと血液を送り出す「動脈」、末梢から心臓へと血液が戻る際に流れる「静脈」と「大静脈」、心臓から肺へと血液を送り出している「肺動脈」の疾患を扱っています。
血管疾患は、血管が大きくなって破裂する拡張性の疾患と、血管が狭くなって詰まる閉塞性の疾患に分けられます。
「大動脈」の疾患の多くは拡張性で、「大動脈瘤」と「大動脈解離」がその大半を占めています。大動脈瘤の破裂や急性大動脈解離はただちに生命を脅かす疾患です。
「動脈」では、手足の動脈の閉塞が多くみられます。腹部内臓の「動脈」の疾患は滅多にありませんが、動脈瘤はよく見られ、腎動脈の狭窄や閉塞もよく見られます。これらの動脈が突然閉塞すると重篤な症状を引き起こし、緊急手術が必要になりますが、動脈が徐々に閉塞する場合には、症状も徐々に現れます。
「下肢静脈瘤」は静脈の疾患の中で最も多い例ですが、生命にかかわることはほとんどありません。一方、静脈内に血栓ができる「静脈血栓症」は、「エコノミークラス症候群」として知られる「急性肺動脈塞栓症」を引き起こすことがあり、生命を脅かす重篤な疾患となります。


心臓血管外科でよくあるお悩み


心臓血管外科でよくある疾患

  • 心臓弁膜症
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 心房や心室中隔欠損症
  • 心臓腫瘍
  • 肺動脈内血栓塞栓症
  • 胸部大動脈瘤
  • 腹部大動脈瘤
  • 腸骨動脈瘤
  • 解離性大動脈瘤
  • 下肢静脈瘤
  • 急性動脈閉塞症
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 大動脈弁狭窄症
  • 大動脈閉鎖不全症
  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 僧房弁狭窄症
  • 三尖弁閉鎖不全症

など

大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄症とは心臓の弁の一つが正常に開かず、心臓が全身に血液を送り出すことが困難になる疾患をいいます。
進行すると、狭心症や心不全を引き起こします。安静時にも息切れの症状が現れ、最悪の場合には突然死することもあります。

大動脈弁閉鎖不全症

大動脈弁閉鎖不全症とは、心臓の弁の一つが正常に機能せず、血液が心臓内で逆流する疾患をいいます。そのため心臓に負担がかかり、全身に必要量の血液を送れなくなり、動悸や息切れを引き起こします。初期には自覚症状がほとんどなく、重症化して初めて気づく場合が多い、難しい疾患です。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の弁の一つが正常に機能しなくなり、血液が心臓内で逆流する疾患のことです。高齢化社会に伴い増加傾向にあります。
心臓や肺に負担がかかり、全身に必要量の血液を送り出せなくなることによって、息切れや咳、呼吸困難などを引き起こします。慢性の場合には、初期は自覚症状がないことが多いです。健康診断で心雑音の指摘や他の疾患の検査を受けて初めて気づく傾向にあります。

僧帽弁狭窄症

僧帽弁が石灰化によって硬く狭くなり、血流が阻害されていく疾患です。
初期の段階では自覚症状が出にくいため、健康診断や他の疾患の検査で偶然発見されることもあります。胸痛が始まってから「狭心症」を疑い、医療機関を受診する方もいます。

三尖弁閉鎖不全症

三尖弁閉鎖不全症は、弁が閉じにくくなることによって、血液が逆流する疾患です。
多くの場合には僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁閉鎖不全などの左心系に異常が起こり、やがて右心系に負担が及ぶと二次的に起きることが多いです。これにより、ひどい浮腫や倦怠感などが生じます。

狭心症

冠動脈にコレステロール(脂肪)などが徐々に沈着し、血管の内腔が狭くなる疾患です。狭窄が進行すると、動脈を流れる血液の量が減少し、心筋への酸素や栄養の供給が不十分となり、胸痛や胸の圧迫感、締め付け感が生じます。

狭心症

心筋梗塞

心筋梗塞は、冠動脈が急激に詰まり心臓を動かしている心筋に血液が届かなくなり、激しい胸痛などの症状が出る疾患です。同様の疾患である狭心症とともに虚血性心疾患と呼ばれています。「虚血性」とは「血液が足りない」ということを意味しています。
虚血性心疾患は、欧米に比べると日本での患者数は少ないものの、高齢者人口の増加とともに患者数は増加しています。現在ではがん、脳卒中と並んで日本人の三大死因の一つとなりました。そのうちの急性心筋梗塞では、年間で約15万人が発症し、そのうちの約3割が亡くなっていると言われます。発症したら一刻を争う事態ですので、迷わず救急車を呼んでください。日本ではカテーテル治療ができる施設が多いですが、時間との勝負です。

心筋梗塞

心不全

心不全とは、心臓がポンプとして機能せず、血液をうまく送り出せなくなる状態です。心臓が十分な量の血液を全身に送り出せず、肺や肝臓に血液が停滞し、呼吸困難、むくみ、動悸、倦怠感など様々な症状を引き起こします。
心不全は独立した疾患名ではなく、色々な原因疾患によって心臓の機能が低下した症候群のことをいいます。心臓疾患で亡くなる患者様の中で、最も多い原因が心不全となっています。超高齢化社会を迎える日本では今後、心不全の患者様の増加が予想されます。

心不全

心房中隔欠損症

心房中隔欠損症とは、左右の心房の間の壁(心房中隔)に穴があいた状態をいいます。先天性心疾患の一つですが、新生児の初期に見逃され、成人するまで気づかないことがあります。

大動脈瘤

大動脈瘤とは、大動脈の血管壁の一部が通常の直径の1.5~2倍以上にまで膨張し、コブ状に膨らんだ状態をいいます。
大動脈は、心臓から酸素を多く含む血液(動脈血)を受け取り全身に運ぶための、体内最大の血管です。大動脈瘤は、大動脈の位置によって胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤に分けられます。
大動脈瘤を放置すると破裂することがあります。大動脈瘤は自然に縮小することはありません。大動脈瘤が破裂すると死に至る確率が高いです。

大動脈瘤

心房細動

通常、右心房と左心房は洞結節から心房壁に伝わる電気信号によって規則正しく収縮と拡張を繰り返し、血液を右心室と左心室(全身と両肺に血液を供給する部屋)に送り出します。心房細動は、心房またはその周囲(多くは肺静脈の付け根)に異常興奮状態の病変が現れ、洞結節の機能が抑えられます。心房が1分間に350~600回、不規則で小刻みにけいれんする疾患を、心房細動といいます。心房細動は決して珍しくない不整脈であり、日本の患者数は約130万人、潜在的な患者数は200万人といわれています。高齢化により患者数は増加傾向にあり、男性は女性の約1.5倍発症しやすいと報告されています。放置をしてしまうと、しばしば左心房に血栓が生じ、脳梗塞などの原因になります。このため、血液が固まりにくくするお薬で予防することが重要です。治療は内服治療やアブレーションというカテーテル治療があります。

大動脈解離

大動脈解離とは、大動脈壁内側から中間部が破れ、元の動脈のかたわらに血液の通り道ができる(偽腔と呼びます)急性疾患です。裂ける部位が心臓に近い場合や臓器への血流障害がある場合には手術が必要となることがあります。他方で、部位によっては入院の上、安静や降圧治療、リハビリで保存的に治療をしていきます。

大動脈解離